駆け足で読んだ二冊

ユダヤ教思想における善と悪

ユダヤ教思想における善と悪

ユダヤ教思想における悪―なぜ、いま「悪」なのか

ユダヤ教思想における悪―なぜ、いま「悪」なのか

結構興味深いお話。こう言っちゃなんだけど、面白かった。
「光を造り、闇を創造し、平和をもたらし、悪を創造する」神様…
<1>欠如としての「悪」
善を「A」とすれば、悪は「-A」ではなく、「0」の状態なんだそうな。そして「悪」の分類
自然法則の悪:生老病死愛別離苦…お釈迦様かよ^^;)とか、地震雷火事(親爺^^;)とか…
・社会的悪:戦争はその最たるもの
・個人的悪:自分自身の行動による悪。心の中の悪。
<2>現実としての「悪」
・道徳的悪と実践的悪への欲望。これは最早「-A」の状態。
以前に「全能の神(The One)ならば、悪が台頭するのも織り込み済みでこの世を創造したんじゃなかろうか?」というようなことを書いたような気がする(メルコールのところね^^)
アダムとイヴが知識の木の実を食べるのは必然だった(食べるなと言われれば食べたくなる。蛇くんの誘惑がなくても食べたんだと思う^^;)
大雑把に言うと、神様は「悪」を指し示してそれを克服することを人間に求めておられるんだそうな。カインとアベルも、単にカインの妬みが主題ではなかった。無垢(無知)であるアベルにも落ち度があったんだとさ。
つまり二人とも真の人間にはなり得なかった見本。アベルは愚か者の代表、カインは智恵を破壊の方向に使用した。
あと、「王妃の首飾り事件」で有名なカリオストロとも関わりがあったらしいヤコブ・フランクのインチキ宗教詐欺の話は面白い。こんなことが動乱時代のヨーロッパであったのね。
ナチの時代のホロコーストパレスチナ問題の対比も、うなずける。容易に被害者が加害者に変われるのが恐ろしい。「善」の仮面を被った「悪」が蔓延る(Brrr)
一度読んだだけではすべてを把握する段階に達することは出来ない。生半可に解説するのも「悪」に繋がる行為なのだろうね(と労苦を惜しむのもデーモンの囁きか?)